代表挨拶message
弊社が電子出版の拠点のため東京本社を開設してから1年が経ちます。これまで、「電子書籍」は、従来の紙の世界である「書籍」という文字が入っているものの、出版業界にとって未知の 媒体でした。そこにICTの分野からシステムやソフトウェアのノウハウを持つ企業が多数参加し、昨年は「電子書籍元年」などと呼ばれました。 しかし、ICTベンダーは出版業界の事情とそこにある現実をうまく理解できなかったり、コンテンツのプロである出版社と技術のベンダーが合致して仕事をするということがなかなかこれまで成功していないのが実情です。
そんな中、弊社はアナログとデジタルの架け橋ができる数少ない企業として皆様のお手伝いをさせていただきました。
それは、出版とICTという2つをまたがったプロだからだといえます。
私は、コンピュータ、出版、コンテンツ配信について幸か不幸かいつも変革期にいました。
まず、大学在学中に、Windows95やLinux、FreeBSDなどが出現し、これまで数百万円するワークステーション上で行っていた開発が、数十万円のPCでできるようになりました。
次に、社会人1年目で入社した出版社では、専用組版のシステムから安価なDTPへの移行が始まり、制作フローも変りました。デジタル素材が流用できるよ うになったことで、出版社の中でもいち早くデジタル著作物の再利用について任され、それまで印刷所に保管されてあった組版データを版元で管理することに従 事しました。社内ではまだフィルム検版、ストリップ修正、版下づくりのフローが残っている時代でした。
さらに、次に創業を手伝ったベンチャー企業では、iTunesStoreが日本に上陸し、音楽配信を通じて、それまでなかった配信システムの構築とコン テンツ契約の雛形、ルールを作りました。海外の顧客との取引も始まり、海外の著作権事情や著作物にかかわる税務、音楽業界のルールを覚え契約書をワールド ワイドにすることは新しい挑戦でもありました。
そして、昨年の電子書籍元年。出版社で働き、超アナログといわれる世界を理解し、さらにコンテンツの配信システムとフロー、流通業界事情に通じ、やっと電子書籍というものが見えてきたと思っています。
私は、大学院で情報工学を学んでいるので、初対面の方からは、「デジタルな人」と思われがちですが、出版社でほとんど毎日紙に赤ペンで校正指示を入れる という超アナログな編集に従事していました。そこには、パソコンはメールを読むのと原稿を流し込むといったことくらいでしか使わず、毎日コンテンツの本体 である文章との格闘がありました。 ですから、技術にのらない編集者の汗やこだわりは誰よりも理解できます。
弊社の社員は、私だけでなく全員にこのような2つの領域に架け橋ができる者を目指しています。
ともすれば技術のみが取り上げられて語られがちな「電子書籍」ですが、弊社は2つの領域のプロフェッショナルとして、このことを自負し、デジタル時代に表現することのお手伝いをさせていただきます。
2011年1月
代表取締役社長 山本幸太郎
代表取締役社長
山本幸太郎について
1976年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。大学院在学中に教育の重要性を痛感し、進路を変更して、教育系出版社に就職。マルチメディア教材の企画開発、理科教材編集を経験する。出版社勤務後、ベンチャー企業のCTO,取締役等を経てデジタルコンテンツの技術的支援およびコンテンツの知的財産権の管理などを学ぶ。
2010年これまで培ったデジタルコンテンツの法務業務とシステム開発のノウハウを生かして、想隆社代表に就任。青山学院大学革新技術と社会共創研究所客員研究員。
尊敬する人物はフェルマー予想を証明した数学者のアンドリューワイルズと結核撲滅に尽力した医師の山本樵男。
活動⼀覧
専⾨領域
- 情報システム開発(設計から制作まで)
- 教育 ICT、電⼦出版におけるアクセシビリティ(特に IT 技術を使った視覚障がい者への⽂字情報のアクセシビリティ)
- 図書館、⽂化施設におけるデジタル化(アーカイブ、アクセシビリティ対応)
- ⾳楽配信、電⼦出版等デジタルコンテンツビジネスにおける著作権等知的財産権の実務
教育・研修等
2023年8月 | エレクトロニクス実装学会『AI2oT座学講座』講義 |
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2023年6月 | 『コピペで使えるAI・デジタル技術入門講座』 |
2022年~現在 | 河原電子ビジネス専門学校講師 担当科目「ディープラーニング」「データマイニング」 |
2020年~現在 | 電⼦情報通信学会 「電気・電⼦系⾼度技術者育成プログラム」講師 |
2016年〜2022年 | 早稲⽥⼤学 ⾮常勤講師(グローバルエデュケーションセンター) |
2012年 | 中央⼤学『情報システム設計論』特別講師 「電⼦書籍が変える出版ビジネス」 |
2011年〜2012年 | ⽇本電⼦専⾨学校 特別講師「業界研究」 |
2011年 | 基⾦訓練「電⼦書籍クリエーター養成科」テキスト監修 |
専⾨家
2024年4月~ | 青山学院大学 革新技術と社会共創研究所 客員研究員 |
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2020年 6⽉ | ⽂部科学省 科学技術・学術政策研究所 技術審査専⾨員 |
2019年〜現在 | ⼀般社団法⼈ ファーストスタープロジェクト理事 |
2016年〜2017年 | ⼀般社団法⼈ 電⼦出版制作・流通協議会 主任研究員 |
2016年〜2023年3月 | 明治⼤学サービス創新研究所客員研究員 |
2014年〜2016年 | 明治⼤学⽂明とマネジメント研究所客員研究員 |
2015年 | JICA のプロジェクトインドネシア教育省の教育 ICT システムの設計について調査報告を担当 |
講演・研究発表
2023年12月 | 計測自動制御学会『AIプログラミング概論ー実務で使う機械学習』(異分野ECE連携プログラム、 招待講演) |
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2023年11月 | JAGAT((公社)日本印刷技術協会)にて『どこまで仕事に使えるのか!AI・デジタル技術最前線』 |
2022年8月~2024年3月 | 総務省 デジタル・ディバイド解消に向けた技術等研究開発 「視覚障害者・ディスレクシアのための音声を使った読書方法の研究開発」(代表研究者) |
2022年2月 | 電子画像学会第50回VMA研究会発表2022年2月24日『読書支援サービスYourEyes』 |
2019年 | 論⽂:湯⼭、篠塚、⼭本「中国語宅配学習アプリの開発と試⽤ 〜 LINE BOT お友達機能を利⽤したクイズアプリ「⼩游」〜」電⼦情報通信学会技術研究報告 思考と⾔語 |
2018年 2⽉ | 講演:⽇本電⼦出版社協会(JEPA)『世界の PubTech 紹介セミナー』 |
2015年 12⽉ | 講演:第 50 回 出版 UD 研究会 「デジタル書籍のアクセシビリティはど こまで実現しているのか」 |
2015年 6⽉ | 発表:早稲⽥⼤学応⽤⾔語学研究「⾳声コーパス貴重⾳源コレクションの開発」 |
2015年 10⽉ | 発表:第 101 回図書館⼤会 東京⼤会「キュメント コンテナ for ライブラリの取り組み −まんのう図書館の事例−」 |
2014年 | 電⼦出版制作・流通協議会 教育 ICT 勉強会 座⻑ |
執筆・寄稿
- 『業務に生かすデータサイエンス』(2023年11月~、オリコグループ社内報にて連載)
- 寄稿:『電⼦出版への道 −OnDeck アーカイブ Vol.1−』(インプレスムック、ISBN978-4844330134)
その他
(企業コンサルティングなど)
- 先進的分野の技術顧問(IT ベンチャー)
- 新規サービス⽴ち上げにかかわる法的、技術的アドバイス(顧問契約、上場企業)